判決が出るまではまだ分かりませんが、リコールがらみでは久々の良いニュースと言えると思います。
米国:ペットフード事件で製造・輸出した中国企業を起訴 【毎日jp】
(以下引用)
米ミズーリ州の連邦大陪審は6日、中国産の原材料を使ったペットフードを食べた犬や猫が昨年3月以降に相次いで死んだ事件で、ペットフードの製造と輸出に関与した中国企業2社などを起訴した。
起訴されたのは中国企業2社のほか、輸入を担当したネバダ州の米国企業。発表によると、3社は共謀して、タンパク質の含有量が基準を満たしていないにもかかわらず、06年11月から07年2月まで「小麦グルテン」と偽って申告した有害な原料800トンを米国に輸入した。
中国製ペットフード禍米連邦大陪審が中国企業などを起訴 【産経ニュース】
(以下引用)
国産の原料を使ったペットフードを食べたイヌやネコが相次ぎ中毒死した問題で、米ミズーリ州の連邦大陪審は6日、原料を製造した江蘇省のメーカーなど中国企業2社とネバタ州の輸入業者を起訴した。日本では農薬が混入した中国製ギョーザを食べた人が重体に陥るなど、中国製品の信用が揺らいでいるが、米国で食の安全問題に関係して中国側の関係者に刑事責任が問われるのは異例のことだ。
食品医薬品局(FDA)が同日発表したもので、3社の経営者らも同時に起訴された。3社は共謀して、米国で使用が禁止されている化学物質メラミンを混入した原料を「小麦グルテン」と称して800トン(85万ドル=約9000万円相当)を米国に輸入した疑い。中国当局の検査を逃れるため偽の申告もしていた。
メラミンを混ぜると原料のタンパク質含有量を高く見せることができ、製品には「最低含有率75%」と偽表示されていた。この原料を使いカナダのメーカーが製造したペットフードで昨年3月以降、イヌやネコが大量に中毒死していたことが発覚した。
アメリカでは、多くのメディアで取り上げられています。
Pet Food Indictments for 3 Firms 【NYtimes】
U.S., Chinese Companies Indicted in Pet Food Case 【washingtonpost】
Firms, officials charged in tainted pet food case
■刑事告発された3社と、その役員4人
・Xuzhou Anying Biologic Technology Development Co. Ltd.(中国)
Mao Linzhun氏(マネージャー)
2006年11月~2007年2月の間に800トン以上のメラミンに汚染された小麦グルテンをカンザスシティーに出荷したため。
・Suzhou Textiles, Silk, Light Industrial Products Arts and Crafts I/E Co. Ltd(中国)
Chen Zhen Hao氏(社長)
メラミン入りの小麦グルテンに偽のラベルをつけて販売したため。
・ChemNutra Inc ケムニュートラ社 (アメリカ ラスベガス)
Sally Qing Miller氏、及びStephen S. Miller氏
メラミン入りの小麦グルテンをペットフードの原材料として販売したため。
偽のラベルについてですが、去年の5月に以下の記事が。
Pet food ingredient mislabeled 【ABC News 2007/5/5】
中国の輸出業者は、原材料となる製品を「nonfood produt (非食料品)」のラベルにすり替えてアメリカの検疫を逃れていたという内容です。
このニュースの時に、アメリカの輸入業者は非食料品と書かれた品がペットフードの原材料として使われる事を分かっていて販売していたのか?と疑問に思ったのですが、捜査の手が及んで共謀と見なされたので、当時の謎が解けました。
メラミン・シアヌル酸の汚染原材料の流れについて
リコールに関わった中国の輸出業者とアメリカの輸入業者は、上記3社以外にもまだあります。
多くのニュースサイトでも取り上げられていましたが、
元はAVMA(アメリカ獣医師会)の記事だと思われます。
Researchers examine contaminants in food, deaths of pets
(以下抜粋)
AAVLDは4月5日から6月6日までの間に、ペットフードによる腎臓毒性の診断評価基準を満たした347のケースを発見した。
このケースは、猫235匹(61パーセント死亡)と犬112匹(74パーセント死亡)を伴います。
猫の致命的なケース:143匹
猫の生存ケース:92匹
犬の致命的なケース:83匹
犬の生存ケース:29匹
バーバラ・パワーズ博士(AAVLD社長、及びコロラド州立大学Veterinary Diagnostic研究所)によると、調査は実際のケースのうち数パーセント発見できたに過ぎないという。
Rumbeiha博士 (ミシガン州立大学 準教授)は、AAVLDの調査結果をまとめ、発表した。それによると、犬よりも猫の方が体格が小さいため、病気になりやすかった。犬では、小型犬から中型犬が一番影響を受けたという。
ペットフードに含まれるメラミンとシアヌル酸の混合は、動物の体内で結晶を形成する。結晶は明らかに腎臓機能を損なうものである。
当初FDAに寄せられた報告は17,000以上と言われていますが、公式に認められた死亡数は16頭だけでした。
新しい発表では226頭ですが、上の記事でもあるとおり、これでも一部だと言われています。
発表された雑誌:Journal of Veterinary Diagnostic Investigation (11月号)
http://jvdi.org/
UC Davisのサイトでの公表
Study Identifies Deadly Chemical Duo in Contaminated Pet Food
研究では、メラミン、シアヌル酸の両方に汚染されたフードを食べた猫は深刻な腎不全になるが、片方だけに汚染されたフードでは病気にはならなかった。
この研究結果では、メラミンとシアヌル酸の両方に汚染されたフードを一口食べただけで、猫に深刻な腎臓障害をもたらす事を示しています。
フードの中にメラミンとシアヌル酸があると、猫の尿で扇形の結晶ができる。通常、健康な猫では観測されないものである。
汚染されたフードを食べた猫は、12時間以内に深刻な腎臓障害に陥った。
検査チームは、汚染されたフードのリスクの詳細なデータを提供するため、腎臓障害を起こすメラミンとシアヌル酸とさらなる調査が必要だと示唆しています。
※UC Davis (カリフォルニア大学デービス校)
獣医学部があり、ペットフードの検査も行うため、ペットフードのニュースでは良く名前が出てきます。
>5月当時のブログの記事はこちら
次のページ>